
肌・髪・便秘にも?「秋の乾燥」と肺の意外な関係
秋になると、
「肌がカサカサしてかゆい」
「唇が乾燥する」
「抜け毛が増えた気がする」
「便が硬く、コロコロする」
こんな変化を感じることはありませんか?
一見すると、咳やのどとは関係なさそうな症状ですが、漢方ではこれらも秋の乾燥と深く関係していると考えます。
これまでお話ししてきた秋と「肺」の関係。
実は漢方でいう肺は、呼吸器だけではなく、皮膚や体の潤い、大腸の働きとも関係すると考えられているのです。
「肺は皮毛を主る」― 秋の乾燥肌
漢方には「肺は皮毛(ひもう)を主る」という考え方があります。
肺の働きによって、皮膚や粘膜に必要な潤いを届け、外からの刺激から体を守ると考えます。
ところが秋は空気が乾燥する「燥」の季節。
肺の潤いが不足すると、
肌のカサつき・かゆみ・唇の乾燥・フケ
などが起こりやすくなります。
スキンケアで外側から保湿することはもちろん大切ですが、漢方では体の内側から潤いを補う「滋陰(じいん)」という考え方も大切にします。
食養生では、梨・れんこん・長芋・白きくらげ・百合根・豆乳・白ごまなどを上手に取り入れてみましょう。
秋に抜け毛が増えるのはなぜ?
「秋になると髪の毛が抜けやすい」という相談もあります。
漢方では髪は「血(けつ)」によって養われると考え、髪の状態には「血」の充実が大切です。
夏の暑さによる疲れや発汗などで体が消耗したところに、秋の乾燥が重なると、髪まで十分に栄養や潤いが届きにくくなると考えます。
そこで、秋は肺を潤すだけでなく、「血」を養う食材も意識してみましょう。
黒豆・黒米・黒ごま・ほうれん草・ひじき・牡蠣・山芋などもおすすめです。
抜け毛が長く続く、急激に増える、部分的に抜ける場合などは、季節のせいと決めつけず医療機関で原因を確認することも大切です。
「肺と大腸は表裏」― 秋のコロコロ便
そして、意外に思われるのが肺と便秘の関係です。
漢方では、「肺と大腸は表裏の関係」にあると考えます。
秋の乾燥によって体の潤いが不足すると、大腸も乾燥して便が硬くなり、
「便がコロコロする」
「便が硬くて出にくい」
といった便秘が起こることがあります。
このタイプでは、ただ便を出すことだけではなく、腸に潤いを与えて自然な排便につなげることを考えます。
食物繊維を含むさつまいも・玄米・ごぼう・海藻類に加え、ごま・はちみつ・プルーン・バナナなども取り入れやすい食材です。
漢方では麻子仁(ましにん)や杏仁(きょうにん)など、腸を潤しながら排便を助ける生薬が使われることもあります。
秋の養生は「潤す」だけではありません
3回にわたって秋の漢方養生をご紹介してきました。
秋は「燥」の影響を受けやすく、肺・のど・鼻・皮膚・大腸などに乾燥による不調が現れやすい季節です。
ただし、同じ秋の不調でも、
「気」が不足しているのか
「血」が不足しているのか
「陰(潤い)」が不足しているのか
余分な痰や熱があるのか
によって、必要な養生や漢方薬は変わってきます。
だからこそ、漢方では「咳だからこの漢方」「便秘だからこの漢方」と症状だけを見るのではなく、その方の体質や全身の状態をみながら整えていくことを大切にします。
毎年秋になると同じ不調を繰り返す方は、症状が強くなってから対処するだけでなく、季節に合わせて体を整える「養生」を始めてみてはいかがでしょうか。