
秋の「咳・空咳・痰」― 咳にもタイプがあります
秋になって空気が乾燥してくると、
「のどがイガイガする」
「空咳が続く」
「痰がからむ」
「風邪は治ったのに咳だけ残る」
といった症状が増えてきます。
前回お話ししたように、漢方では秋は「燥(そう)」=乾燥の影響を受けやすく、特に「肺」が傷つきやすい季節と考えます。
しかし、一口に「咳」といっても、その状態はさまざま。
漢方では、咳の出方や痰の色・量、のどの状態などをみながら、その人に合った対処を考えていきます。
① 痰が少ない「乾いた咳」
秋に特に多いタイプです。
のどが乾く、イガイガする、空咳が続く、痰が少なく切れにくいなどが特徴です。
乾燥によって肺の潤いが不足すると、咳を鎮めるだけではなかなか改善しないことがあります。
このような場合、漢方では「肺を潤す」ことを大切にします。
麦門冬(ばくもんどう)、沙参(しゃじん)、貝母(ばいも)など、肺やのどを潤しながら咳を鎮める生薬が使われます。
食養生では、長芋・れんこん・梨・ゆり根・銀杏などがおすすめです。
② 白い痰がからむ咳
白っぽい痰が多い、痰がからむ、鼻水が出る、冷えると悪化するといったタイプです。
漢方では、体内の余分な「水(すい)」が痰となり、肺の働きを妨げている状態などを考えます。
この場合は、何でも「潤せばいい」というわけではありません。
半夏(はんげ)や陳皮(ちんぴ)などを使い、余分な痰や水分をさばきながら、肺の働きを整えることを考えます。
食養生では、長芋・しめじ・みかん・わかめなどがおすすめです。
③ 黄色い痰が多く出る咳
咳が強い、黄色い痰が多く出る、のどに熱感があるなどが目立つタイプです。
漢方では、肺に「熱」がこもり、その影響で咳や痰が出ている状態などを考えます。
このような場合には、肺の熱を冷ましながら、咳を鎮めることを大切にします。
生薬では、麻黄(まおう)・石膏(せっこう)・杏仁(きょうにん)などが使われることがあります。
食養生では、大根・びわ・ごぼう・梨などがおすすめです。
④ 咳が長引き、息切れしやすい
風邪のあとにいつまでも咳が残ったり、
少し動くと息切れする、疲れやすい、声に力がないといった症状がみられることがあります。
この場合は、咳だけではなく、漢方でいう「肺の働きそのものが弱っている状態」も考えます。
そのため、咳を鎮めるだけではなく、弱った肺の働きを補い、体を整えていくという視点も大切になります。
秋の咳といっても、そのタイプはさまざまです。
咳が長く続く場合や、息苦しさ・高熱・血痰などがある場合は、医療機関を受診しましょう